クサガメは、草亀・臭亀とも表記されます。
漢字で書くと、なんだか微妙ですね。
名前の由来は、漢字が示すとおり臭いカメ、だそうです。
野生のクサガメは、天敵に出会うと臭腺と呼ばれる器官から特徴のあるクサイにおいを出しますが、飼育下ではそのような匂いをだすことはほとんどありません。
顔から首にかけて入っている模様が、草によく似ているから草亀、という説もあるようです。
目次
クサガメの生態
クサガメとゼニガメ
500円玉より小さいようなサイズの幼体は、ペットショップではゼニガメと呼ばれ販売されています。
ゼニガメという種類のカメは存在していませんが、クサガメの幼体のことをゼニガメと呼んでいるようです。
カメにはたくさんの種類がありますが、、クサガメは真っ黒な甲羅と、首元から顔の頬のあたりにかけて入っている黄色い模様が特徴です。
ミドリガメは赤い色の模様が入っているので、クサガメとの違いはすぐに分かりますね。
昼行性ですが、 野生のクサガメは夏は気温が高いため、夕方から夜の比較的涼しい時間帯に行動する個体が増えますが、飼育下では1年を通してお昼に行動する場合が多いです。
日光浴が大好きです。
クサガメは他の種類に比べ、特に泳ぎが得意なカメです。
流れの緩やかな川や池、湖に生息しており、流れが速い川の源流などに生息している日本固有の在来種であるイシガメとはしっかり棲み分けがなされています。
寒さに弱いため、日本の本州中部より南に多く生息しています。
変温動物なので、気温が下がれば冬は冬眠します。
飼育下では冬眠させると命に関わる場合もあるので、水温が下がってきたら、ヒーターを使って一定に保ったり、暖かい室内で冬を越すのが理想とされています。
クサガメの冬眠については後述します。
クサガメは雑食性で、水草や甲殻類、水苔、タニシや水生昆虫やミミズ、魚類などを採食します。
繁殖
オスは3-4年、メスは5-7年で繁殖が可能になりますが、実際に繁殖させるには、まず冬眠させることが必要になってきます。
飼育下では、繁殖に必要な季節感や気温の変化が少ないからです。
冬眠させ、野生下の状態に近づけ発情を促進します。
繁殖期には、メスは交尾をしていなくても卵を産みますが、無精卵なので孵化しません。
発情期のオスメスがペアになり、交尾して受精出来れば、1回に1-14個ほどの卵を1-3回に分けて産みます。
卵は約2ヶ月で孵化します。
寿命
クサガメの平均寿命は20-30年といわれています。
中には40年近く生きた個体もいるようです。
実は外来種
クサガメは2010年まで、日本の在来種だと思われていましたが、実は18世紀ごろに朝鮮半島から輸入された外来種だということが研究により判明しました。
しかし、日本に生息して200年経っているので、最近日本にやってきた他の外来種のカメと比べると、少し勝手が違うような気もします。
最近ペット用に販売されているものは、中国大陸や台湾から輸入されたクサガメのようです。
中国・台湾産のクサガメは、甲羅の甲板を縁取るような黄緑の線が入っており、キンセンガメという名前で販売されていたりします。※キンセンガメが中国産か台湾産かは、色んな情報があり定かではありません。
日本産のクサガメは、中国・台湾からの輸入されたクサガメより大型でオスは甲長15-20センチ、メスは甲長20-30センチを超えるものもいます。
中国・台湾産のクサガメは、日本産より少し小ぶりなようです。
最近では日本固有の在来種であるニホンイシガメとの交雑が問題視されています。
イシガメとクサガメの雑種(ハーフ)は、ウンキュウと呼ばれています。
オスとメスの見分け方
クサガメの性別は、小さいものでは判断がつきません。
3年以上は経っている、ある程度大きくなった個体で見分けるのが理想です。
クサガメの性別の見分け方についてわかりやすい方法をいくつかご紹介します。
クサガメのしっぽには、総排出腔(オシリの穴)がありますが、それが甲羅より内側にあればメス、甲羅より外側にあればオスです。
オスは性器がしっぽの中にあるため、メスに比べてしっぽが長く太いのです。
それから、成体になるとオスは首にある模様が消え、真っ黒になります。
メスは成体になっても、首や顔にある黄色い模様は消えないのでひと目で分かります。
目安として、クサガメは4年ほどで成体になります。
そしてもう一つの見分け方も、成長してわかることですが、クサガメはメスの方がオスより大きく成長する特徴があります。
メスは最大で甲長30センチ(中国・台湾から輸入された個体はこれより少し小さいものが多いです)、オスは甲長15センチ前後といわれていますので、2匹買っていて明らかに大きさが違うようなら、性別の判断がしやすいですね。
1匹だけ飼育している場合は、この判断方法ではわかりにくいかもしれません。
もしあなたが、本州中部より南のほうに住んでいるなら、川や池で野生のクサガメを見つけることが出来るかもしれませんね。
飼育されていたクサガメが、何らかの理由で外に放たれ、本来は生息していないはずの北海道など寒い地域で確認されることもあるようです。
クサガメの生態をしっかりと知り、長い時間一緒に生きることが出来るペットとして責任を持って飼育しましょう。
カメは人間に有害なサルモネラ菌などを甲羅に保有している場合がありますので、カメを触ったり、水槽のお手入れをしたあとは、しっかり手を洗い、清潔にたもちましょう。
クサガメの飼い方
ただ今水換え中😚#クサガメ #ひょっこり pic.twitter.com/hyii71Qp0W
— pochikun (@pochikun240) 2018年5月19日
販売値段
ペットショップでは、幼体のクサガメをゼニガメと表記して売られていることが多いです。
ゼニガメは500円前後で販売されています。
大きくなり、クサガメとして販売されている場合はもう少し値段は高めになりますが、大体1000円から2000円で購入することが可能です。
クサガメを飼うにあたり、必要な物をご紹介します。
水槽
大きなペットショップや、ホームセンター、インターネットでは、カメ飼育セットとして、水槽(30センチから60センチまで大きさは様々)・水槽のフタ・カメの浮島・
フィルターがセットで売られていますので、そちらを購入するのも良いかと思います。
カメ飼育セット:2000円から
個別に自分好みのものを購入することも可能です。
その場合必要なものをご紹介します。
まず第一に水槽が必要です。
水槽は30-90センチくらいの大きさで、クサガメの大きさや、自分が希望する飼育環境に合わせて購入しましょう。
ゼニガメの間は30センチ水槽でも十分ですが、成長してくると、60-90センチの水槽が理想です。
衣装ケースなどで代用する事もできますが、水槽やケースが大きくなればなるほど、水換え・そうじの時の手間がかかりますのでその点も考慮して購入しましょう。
クサガメの成長に合わせて大きなサイズに買い換えることも可能です。
水槽を購入する際に大切なことは、クサガメが十分泳げるような水深を確保出来るかということです。
カメ用の浅めの水槽もありますが、成長して大きくなってくるとかなり上の方まで水を入れることになり、その場合しっかりフタをしておかないと、陸地から脱走する恐れがありますので注意しましょう。
水槽のフタ
フタは別売りの場合もありますので、水槽のサイズに合うものを購入しましょう。
デザインの凝った、オシャレなフチ無しの水槽もあります。
フタ付きの30センチ水槽:1500円から
浮島
そしてクサガメは陸地で甲羅干しをするので、カメの浮島が必要です。
色んなデザインや大きさのものが売られていますので、自分好みのもの、かつ、購入する水槽の大きさに合ったものを探しましょう。
水槽に対して、浮島が大きすぎると、甲羅が引っかかり浮島に上がることができなくなってしまいます。
きちんと考えて購入しましょう。
カメの浮島:500円から
紫外線ライト
暖かい地域にお住まいで、昼間の太陽が当たる時間にベランダなどで日光浴させることが可能なら必要ありませんが、室内飼育や、日当たりの関係で日光浴が難しい場合はバスキングライトを用意して、カメの浮島でクサガメが甲羅を乾かしたり、体温調節を出来るようにしてあげましょう。
バスキングライト:1000円前後
クリップ式のライトソケット:1000円前後
ろ過器
クサガメは水槽の水を飲水にしているので、こまめな水換え、水槽の掃除が必要です。
毎日または2日に一度の水換えが理想ですが、難しい場合はろ過器・フィルターを設置して、出来るだけ綺麗な状態を保てるようにしましょう。
ろ過器も水槽の大きさにより、適切なサイズがありますので、自分が用意する水槽の大きさに合わせたものを購入しましょう。
ろ過器:1000円から
底砂
水槽の底に敷く砂も用意しておくと、水槽の水質を良くするバクテリアなどの住処にもなりますので掃除の際のストレスにならないのであれば、底砂を用意するのもおすすめです。
水槽の底砂1キロ:300円から
ヒーター
一年を通してベランダや屋外での飼育を予定している場合、冬の寒い時期、水温が下がりすぎると、想定外の冬眠などが起こってしまいクサガメが命を落としてしまうことがあります。
そんなことが起こらないように、寒い時期にも水温を一定に保っておけるヒーター・サーモスタットの購入もおすすめします。
20-25度の水温があれば、越冬が可能です。
ヒーターにも色んな種類がありますが、クサガメ飼育に使いやすいのは、26℃固定のヒーターです。
水槽の大きさによって、ワット数など異なりますので用意する水槽の大きさに合わせたものを購入してください。
温度固定のヒーター:2000円から
サーモスタット(温度指定自由なもの) 30センチ水槽用:3000円位
クサガメの飼育に必要なものは以上になります。
続いてクサガメの普段の食事にかかる費用のご紹介です。
餌
カメのエサは色んな種類のものが売られていますが、個体差により、食いつきのいいものや悪いもの、そして同じものばかりを与えていると、飽きて食べなくなってしまう場合もありますので、大容量のものや、同じものを大量に購入はおすすめしません。
少量のパックなども多くありますので、そういった物を購入して、様子を見ましょう。
中には水が汚れにくいような工夫がされているエサも販売されています。
ソーセージ、かまぼこなどの練り物もカメが好んで食べますが、あくまで人間の食べ物ですので、カメにとって有害な成分が含まれている場合もあります。
与えすぎには注意しましょう。
幼体の間は、少量で食べ切れる量を、1日2-3回を目安に与えましょう。
成長すればエサは1日1回で大丈夫です。
カメの活動が活発で消化吸収しやすい、朝から昼の間に与えるのが良いです。
エサ 70グラム:300円から
クサガメの飼育は、水槽や浮島などを購入してしまえばあとはエサと水道代だけですので、そこまで費用はかかりません。
しかし、こまめな水槽の水換え・掃除が必要ですので、労力がかかることを念頭に置いて飼育しましょう。
クサガメの冬眠方法まとめ
かゆすぎて、まわる?(笑)
#クサガメ#亀#座敷亀#ペット#ほのぼの pic.twitter.com/q5xNQ7FvxF— まりもぷりん (@kELdqkeDVd2hMwc) 2018年5月14日
クサガメを冬眠させるにあたり、メリット・デメリットがあります。
色んな点を踏まえて、冬眠をさせるかさせないかの判断をしましょう。
メリットは大きく分けて以下の3つです。
- 野生下と同じように冬眠させることで、繁殖活動の促進が期待出来る
- 越冬させるためのヒーターなどを購入する必要がない
- 越冬をさせたカメに比べて、冬眠しているカメは寿命が長い場合が多い
そして以下4つがデメリットになります。
- 越冬させたカメより、冬眠したカメのほうが成長スピードが遅い場合がある
- 死んでしまうリスクがある
- 落ち葉を集めたりする準備が必要である
- 繁殖させたくないのに冬眠させてしまうと、繁殖活動が促進されてしまう
主にこういったことがあります。
では、冬眠をさせるという選択をされた飼い主さんに、クサガメを冬眠させるにあたっての準備、注意点などをお伝えしたいと思います。
野生下のクサガメは住んでいる地域にもよりますが、11月から3月ごろまで冬眠します。
飼育下でも、冬眠させる場合は同じ時期になります。
冬眠させるクサガメは、生後3年以上経っている個体にしましょう。
生後1-2年の小さい子ガメや、体調がすぐれないカメは冬眠は見送りましょう。
冬眠するにはとても体力が必要です。
上記のような個体だと、死んでしまう可能性が高くなってしまいます。
その年の夏・秋ごろから日頃の様子をチェックしておきましょう。
- 毎日しっかりエサを食べているか?
- 10月前半の少し寒くなってきた時点で、しっかり脂肪を蓄え、痩せたりしていないかどうか?
- そして甲羅干し(日光浴)をしっかりしていたか?
- 病気やケガはしていないか?
こういったことに気を配りましょう。
初めての冬眠や、長年冬眠させていない個体を冬眠させる場合はより慎重にならなくてはなりません。
気温が20℃以下になってくると、クサガメは冬眠の準備を始めます。
気温が下がり始める10月下旬ごろからクサガメの動きが鈍くなり、食欲が落ちます。
徐々にエサを食べる量が少なくなるので1週間位かけて与える量も減らしていき、
冬眠する2-3週間前にはエサを与えるのを止め、絶食させましょう。
気温が10℃以下になると、冬眠に入ります。
冬眠前には必ず絶食させなければなりません。
体内にエサやフンなど未消化のものがあると、冬眠中に腐ってしまいカメが死んでしまいます。
水中での冬眠方法
クサガメの冬眠には、土の中で冬眠させるか、水槽の中で冬眠させるか、2つの方法があります。
クサガメは、野生下でも水中で冬眠するものがほとんどですので水中での冬眠について詳しくご紹介します。
川の底や水槽の中で冬眠なんて、呼吸はどうなっているの!?と心配になりますね。
冬眠している時のクサガメは、水中の僅かな酸素を吸収しているようです。
仮死状態になっているので酸素の量は少しで大丈夫なのです。
水槽で冬眠させる場合は、落ち葉や水苔を用意しましょう。
落ち葉に関しては、そのまま使用するとアクが出て水質や水の色が変わってしまいますので、出来るだけ早い段階から落ち葉を集めておいて、1ヶ月位水につけてアク抜きしておきましょう。
準備はこれでOKです。
野生下のクサガメは流れがない池や川で、底にたまった落ち葉に潜ったり、底の岩の間で冬眠したりします。
温度変化が少なく、暗くて静かな場所が適していますので、人の出入りが多い場所や、温度変化が激しい場所で冬眠させるのは避けましょう。
しかし、水温が0℃以下になると凍ってしまいますので直射日光が当たらない日陰で、水温は5℃前後に保っておける場所が理想です。
水槽での冬眠では、ある程度の水深が必要です。
いつもより20センチ以上深くなるように、水を足して調節しましょう。
これは、もし水面が凍ってしまった場合でも、中のカメまで凍らないようにするためです。
冬は乾燥しやすいため、水槽の水量チェックはこまめに行なってくださいね。
カメの動きが鈍くなり、冬眠に入る準備が整ったら、水槽の中にアク抜きした落ち葉をたっぷり入れて冬眠するのにピッタリな、落ち着ける場所にしてあげましょう。
水槽にはフタをして、水分の蒸発を出来るだけ防ぎましょう。
水が少なくなってきたら水を足すのは大事ですが、水温に注意して行ってください。
そして冬眠中の水槽の水換えは必要ありません。
少しの水温の変化が、カメにとっては体力の消耗に繋がります。
掃除や水換えはせず、水が減ってきたら足すようにしましょう。
冬眠明けのタイミングは?
そして、春が訪れる3月上旬から下旬にかけて、クサガメの冬眠明けの時期がやってきます。
冬眠明けで大切なことは、無理やり起こさず、カメの自然な目覚めをサポートするということです。
強制的に冬眠明けさせてしまうと、クサガメにとても負担がかかりますので自然な目覚めを待ちましょう。
3月上旬ごろから、水槽を少しずつ陽の当たる暖かい場所に移動させましょう。
上昇する水温で、春がきたことをカメに知らせてあげるのです。
水槽の中の枯れ葉も、同じタイミングで少しずつ取り除いていきましょう。
春を感じると、カメは自然に目覚めます。
急がずゆっくりと、水温に気をつけながら気長に待ちましょう。
久しぶりの動いているクサガメを見るのが、とても楽しみですね!
もし4月になっても目覚める気配がない、様子がおかしいと感じた場合はヒーターを入れたり、暖かい部屋の中で水温をあげて強制的に冬眠から目覚めさせましょう。
冬眠明けのクサガメは、いきなりエサは食べれないので水温が上がり20℃前後になったら、エサを与え始めましょう。
冬眠の間はフンもしていないので、水槽の水換えもカメの生活が通常どおりになってからで大丈夫です。