レッドビーシュリンプは観賞価値が高いこともあり、多くのアクアリストが飼育しています。
エビを飼育するのであれば、レッドビーシュリンプかミナミヌマエビかヤマトヌマエビの選択といっても過言ではないぐらい、存在感の大きい種です。
このレッドビーシュリンプはビーシュリンプと呼ばれるエビが色彩変異で赤くなった状態を維持したもので、自然界には存在していません。
人間が品種改良で生み出したエビと言うことも出来ます。
今回はその少し特殊な誕生ルーツを持つレッドビーシュリンプの生息地や特徴、大きさ、寿命、販売価格、飼育方法などについてお話しします。
目次
レッドビーシュリンプの生態の特徴
まずはレッドビーシュリンプの生息地についてですが、先ほども述べたようにレッドビーシュリンプはビーシュリンプから生み出された種ですので、自然界には存在していません。
ではそのビーシュリンプはどこに生息しているのかと言うと・・・不明なんです。
ビーシュリンプと言う名前は輸入時につけられた名前であり、その時に輸入されたエビは一種類ではなかったと言われています。
つまり複数種が混ざった状態で輸入され、これらをまとめてビーシュリンプと呼ぶようになってしまいました。
そのため、ビーシュリンプと呼ばれるエビの生息地というのはわかりません。
もちろん輸入されたエビ全てを分類わけすれば生息地は分かりますが、ビーシュリンプという名前のエビの生息地は定まっていないと言われているんです。
レッドビーシュリンプは遺伝による繁殖を楽しむことが出来るというのが最大の特徴。
グッピーも尾びれの色や形といった要素が遺伝によって決まるため、交配を重ねて美しい個体を生み出すことに熱意が注がれていますね。
レッドビーシュリンプはこのグッピーのエビ版と思っていただいて良いです。
レッドビーシュリンプの場合は模様の種類や色の濃淡を始めとしたものが遺伝によって決まります。そのため自分好みの美しい個体を生み出すために熱意を注ぐ人がたくさんいます。
レッドビーシュリンプの他の特徴としては打たれ弱さが挙げられます。
これは飼育する上で必ず知っておかなければなりません。
レッドビーシュリンプはミナミヌマエビと同じぐらいの大きさですが、丈夫さは全く違います。
ミナミヌマエビなどの水槽で飼育する淡水エビと比較して、水質の変化や水温の変化にかなり弱いです。
それゆえに水替えも丁寧にしなければいけません。
様々な環境の変化に弱いということを理解しておかなければ、ミナミヌマエビと同じような飼育をしてしまうことでしょう。
その結果レッドビーシュリンプが全滅してしまう可能性があります。
大きさ
次にレッドビーシュリンプの大きさについてですが、レッドビーシュリンプは3cm前後までしか成長しません。
ミナミヌマエビよりも小型のエビ。
小さいこともあり、少ない数では水槽のどこにいるのか見つけられなくなってしまいますが、たくさん飼育すると鮮やかな見た目から水槽を綺麗に彩ってくれます。
数を揃えるには手間暇か資金がかかりますが、数が揃わなければ観賞価値が低いため、適正数を飼育するようにすると良いです。
寿命
次にレッドビーシュリンプの寿命についてですが、寿命はおよそ2年と言われています。
しっかりと飼育することが出来れば2年以上生きることも出来ますが、基本的には2年と思っておけば良いでしょう。
ただレッドビーシュリンプは先ほども記述したようにミナミヌマエビよりも弱い種ですので、下手な飼育をすると2年どころか、導入初日に全滅してしまうような場合ももちろんあります。
レッドビーシュリンプの販売価格
次にレッドビーシュリンプの販売価格について。
レッドビーシュリンプは一匹最低でも250円程度します。
高いレッドビーシュリンプであれば1万円以上する場合も・・・。
それほど価格差の激しいエビがレッドビーシュリンプです。
なぜこれほど価格差が激しいのかと言うと、レッドビーシュリンプは遺伝により様々な模様を発現する種だから。
有名なものですと背中に赤い丸模様がある「日の丸」や頭は赤く体は白い「モスラ」などがあげられます。
一匹一匹模様が異なり、また色の濃さも違います。
本当に綺麗な赤色をしたエビもいれば、赤色が途切れ途切れのエビもいます。
この二匹のエビの価値は全く違います。
また脚が白いエビもいれば赤いエビもおり、これもまた価値が違います。
このように色の濃淡、模様、大きさや形など様々な要素により価格差が生まれているのです。
なぜこれほど一匹のエビが高騰するのかというと、レッドビーシュリンプは比較的容易に繁殖させることが出来るからです。
グレードの高い、綺麗なレッドビーシュリンプを親エビとして繁殖させることで、グレードの高いエビを増やすことが出来、水槽の美しさも上がります。
当店で1番グレードの高いレッドビーシュリンプです。
10000円で販売しております。 pic.twitter.com/WBog0lpCgu
— レッドフェアリー (@REDFAIRY11) 2018年5月20日
少しでも水槽のレベルを上げるべくレッドビーシュリンプは次々と美しい個体が生み出され、高騰してしまったのです。
以上がレッドビーシュリンプの基本情報。
レッドビーシュリンプの飼い方
レッドビーシュリンプを飼育する時に必要な飼育環境は、一般的な熱帯魚の飼育とほとんど変わりません。
しかし、熱帯魚と混泳するのではなく単独で飼育するのであれば揃えてあげると良い環境と言うのは存在します。
熱帯魚と混泳する場合としない場合で環境を変えてあげることで、レッドビーシュリンプにとってより最適な環境を提供してあげることが出来ます。
レッドビーシュリンプを単独飼育する場合と混泳飼育する場合で環境を少し変えてあげると良いです。
単独飼育
レッドビーシュリンプだけを飼育する場合は、水槽・ヒーター・濾過機・照明・水草を揃えてあげます。
水槽
水槽は大きい方が好ましいですが、それほど多く飼わないのであれば小さくても構いません。
ヒーター
ヒーターは可変式のものが良いのですが26度固定ヒーターでも構いません。
ヒーターは可変式にした場合、温度を少し変えることで繁殖しやすい環境を生み出したりすることが出来ますし、レッドビーシュリンプの飼育をやめて熱帯魚飼育に切り替えた時にも便利です。
ただ多くの熱帯魚は26度で飼えますし、レッドビーシュリンプも26度で飼育繁殖可能なので資金に余裕があれば可変式を、なければ固定式を購入すれば良いでしょう。
濾過機
次に濾過機についてですが、濾過機は底面フィルターがお勧め。
レッドビーシュリンプは水流が強いと弱ってしまいますし、レッドビーシュリンプの稚エビは濾過機の給水口から吸いこまれてしまうため、底面フィルターにすることをおすすめします。
これで2つの問題を一気に解決することが出来ます。
ただし、底面フィルターにするならばしっかりと全面に敷き、止水域が出来ないようにする必要があります。
照明
次に照明ですが、照明はレッドビーシュリンプには本来必要ありません。
なくても十分飼育することが出来ます。
しかしレッドビーシュリンプを飼育するのであれば水草を育てるでしょうし、良い水草を育てるには照明が必要です。
そのため、照明は育てる水草に合わせて好きなものを購入して構いません。
水草
最後に水草についてですが、水草は基本的には好きなもので構いませんが、レッドビーシュリンプを飼育するのであればウィローモスを入れてあげると良いです。
ウィローモスはレッドビーシュリンプを始めとしたエビ類にとって隠れ家ともなり、餌場ともなるものです。
レッドビーシュリンプの親エビだけ飼育するのであればなくても構いませんが、稚エビを飼育するのであれば必須といっても過言ではありません。
それほどウィローモスはレッドビーシュリンプの飼育に重要な要素です。これがあるのとないのでは繁殖率が全く違うと覚えておくと良いでしょう。
混泳飼育
次に熱帯魚との混泳を行う場合の環境ですが、基本的な準備物はレッドビーシュリンプの単独飼育と変わりありません。
あえていうなら、隠れ家を多めに用意してあげると良いです。
レッドビーシュリンプはエビですから、熱帯魚にとっては美味しい餌でしかありません。
小型熱帯魚はレッドビーシュリンプを積極的に捕食する行動はとりませんが、レッドビーシュリンプからすれば熱帯魚は恐怖の対象でしかありません。
そこで隠れ家を入れてあげるか、水草を多めに植えて隠れ家を生み出してあげる必要があります。
水槽
また、準備物は基本的に同じとは言え、多少の変更は必要です。
まず水槽についてですが、大きめの物を使うようにします。
小さいと熱帯魚とレッドビーシュリンプの遭遇率が高すぎてストレスになります。
出来る限り離れられるよう大きい水槽を利用するようにします。
濾過機
次に濾過機についてですが、濾過機は熱帯魚を飼育する場合は底面フィルターを使うことはないでしょう。
代わりに外部フィルターなどを使うことと思いますが、レッドビーシュリンプは水流に弱いので、あまり水流が発生しないようにする必要があります。
洗濯機状態になるような高水流にならなければ大丈夫なので、水流は作りつつ、強すぎない調整が大事です。
ヒーター
ヒーターに関しては特にレッドビーシュリンプの単独飼育と変わりありません。
餌
また、熱帯魚を飼育する場合は熱帯魚の餌を与えますが、その餌の残りをレッドビーシュリンプは食べるので、レッドビーシュリンプには餌を与えないか、与え過ぎないようにしてください。
最後にレッドビーシュリンプの混泳についてですが、繁殖を狙うのであれば不可です。
繁殖をさせたいのであればレッドビーシュリンプの他に熱帯魚などは入れないようにしてください。
可能ならばミナミヌマエビなどの他のエビとの混泳も避ける方が無難です。
稚エビは熱帯魚の餌となってしまいますし、ミナミヌマエビのような繁殖力の高い種がいると水槽がミナミヌマエビに支配されてしまいレッドビーシュリンプは生存競争に敗北して全滅する可能性があります。
繁殖を狙わないのであれば、レッドビーシュリンプを捕食しない熱帯魚との混泳は可能です。
レッドビーシュリンプの繁殖
レッドビーシュリンプは一匹200円や300円はする高価なエビなので増やして売りたい、鑑賞用エビとして飼育したいけれど価格が高くて数を揃えられないから増やしたいと考えている人は多くいると思います。
レッドビーシュリンプは様々な模様を持って生まれてくる種ということもあり、鑑賞用エビの中でも繁殖を最も楽しめるエビ。
しかし、繁殖を楽しめるとは言っても、レッドビーシュリンプは同じ鑑賞用エビであるミナミヌマエビと比べてかなり飼育難易度が高く、繁殖も難しいのが実情です。
そこで今回は少しでも繁殖の成功率を高められるよう、レッドビーシュリンプの繁殖に関するあれこれをお話しします。
レッドビーシュリンプを繁殖する上で重要なのは、
- 水温
- 雄雌の割合
- 稚エビ向けの環境
の3つです。
もちろん水質や餌なども重要な要素ではありますが、この三要素が特に重要となります。
レッドビーシュリンプを普通に飼育することが出来ている環境であれば基本的には繁殖を行うことは出来ますが、「親エビが繁殖行動をとり抱卵すること」と「稚エビが無事に成長すること」は全く別物だということは覚えておく必要があります。
それぞれで適した環境が違うので出来る限りベストな環境を構築してあげることで繁殖の成功確率を高めることが出来ます。
抱卵
まず繁殖行動を取り抱卵するのに最適な環境についてお話しします。
繁殖行動をとってもらうには水温を25度前後にすることが必要。
水温が低すぎれば活性が悪くなり繁殖行動も抱卵も行わず省エネモードに入ってしまいます。
逆に水温が高すぎると元々高水温には弱い種ですので死んでしまうことがあります。
繁殖をしてほしいのであれば25度前後をキープするようにすると良いです。
水質などの他の水槽環境は、レッドビーシュリンプを普通に飼育できるものであれば問題ありません。
水温にだけ気を付けてあげるようにしてください。
餌は普段はコケや微生物を食べているため必要ないですが、繁殖を目指すのであれば動物性たんぱく質の含んだ専用フードを与えると効果的。
「ヌマエビの主食」のような鑑賞用エビ向けのフードで十分です。
この状態で飼育していれば数か月以内に繁殖行動を確認できるはずです。
ただし注意点として雌雄の割合に目を向ける必要があります。
レッドビーシュリンプは雌が脱皮し、溢れ出したフェロモンに雄が反応することで交尾を行います。
そのため雄が多すぎると一匹の雌が集中的に狙われてしまい、最悪の場合死んでしまうことがあります。
また雌が少なければ当然脱皮数が減少するため交尾の発生率が下がります。
それではなかなか繁殖をして貰うことはできないでしょう。
そのため雌雄の割合は1対3ぐらいがベスト。
雌の方を多く飼育することで繁殖率を高めることが出来ます。
レッドビーシュリンプが快適に生きることが出来る環境と雌の方が多いという雌雄比、この条件が整えば繁殖はそれほど難しくはありません。
ただレッドビーシュリンプはデリケートなエビなので、ここまでの条件を整えるのがとても難しいです。
環境を安定させ、レッドビーシュリンプが快適に生きられる環境の構築を行うのが繁殖の最低条件になります。
稚エビ向けの環境構築
レッドビーシュリンプの稚エビ発見!!
めっちや嬉しいです(^^) pic.twitter.com/njbaXBeulA— ひぐらしなまず アクアリウム (@xj_kz) 2018年5月15日
次に稚エビ向けの環境構築について。
親エビは比較的餌も自由に摂取できますし、小型の熱帯魚と過ごしていても問題ありません。
一般的な水槽環境さえ整っていれば飼育することは出来ます。
しかし稚エビはこの普通の環境では成長することが出来ません。
と言うのも稚エビは1mmあるかないかの大きさしかなく、固形の餌を自力で撮ることも出来ませんし、熱帯魚と混泳させようものなら一瞬で食べられてしまいます。
また、ヒーターカバーの隙間を通れてしまうためヒーターに触れて死んでしまったり、小さいうえに水流に簡単に流されるため濾過機に吸い込まれて死んでしまったりすることがあります。
稚エビにとって、一般的な水槽と言うのは危険な要素がたくさんあるのです。
そのため、これらの危険要因を全て取り除くか、解消してあげる必要があります。
まず餌についてですが、稚エビはコケなどを食べて育ちますので、水槽には稚エビがたっぷり食べられるだけのコケが存在する必要があります。
ウィローモスを入れておけば基本的には大丈夫。
次に熱帯魚との混泳ですがこれは絶対に避けなければなりません。
どれだけ小さい熱帯魚相手であっても食べられてしまいます。
熱帯魚と一緒に飼育している場合はセパレートするか、一時的に稚エビか熱帯魚を移動させるようにする必要があります。
次にヒーターとの接触死ですが、これはどうしようもありません。
出来るだけ水草から離れた場所にヒーターを設置するなどして稚エビが触れにくいようにしてあげることが重要です。
そして最後に濾過機に吸い込まれることによる死ですが、これは濾過機の給水口にスポンジフィルターを付けることで対策を行うことが出来ます。
稚エビ向けの環境構築については以上です。
以上の環境を整えればレッドビーシュリンプの繁殖を楽しめる確率はかなりあがりますので、参考にしてみてください。
エビ版のグッピーとも言える「レッドビーシュリンプ」。
ちょっとデリケートな生き物ですが、それゆえについつい熱くなってしまいます。
是非、一緒に生活をしてみて下さい。