目次
ラグドールの生態の特徴
ぬいぐるみのようにもふもふボディで、ふわふわのしっぽがかわいいと人気があるラグドール。
ラグドールはアメリカ原産の猫種です。
1960年代にアメリカのカリフォルニア在住のブリーダーが、白い猫、ペルシャ、バーマンとバーミーズなどを交配させて誕生させました。
ペルシャは日本でもよく知られていますが、バーマンというとちょっとわからないかもしれませんね。
バーマンは、ビルマ(ミャンマー)原産の長毛種で、体重は平均2.5~6.5キロ。
ラグドールのもふもふした毛並みと太いしっぽはどうやらバーマンの遺伝子の為せる技のようです。
バーミーズは同じビルマ(ミャンマー)原産の猫ですが、こちらは短毛種です。
ラグドールのネーミングの「ragdoll」(ラグドール)は、英語で「布製でできたぬいぐるみ」のこと。
抱っこが大好きで、まるでぬいぐるみのようにおとなしく抱っこされることから付けられたと言われています。
ペルシャから受け継いだブルーの目が美しい、愛嬌のある顔の猫です。
ラグドールの体重・大きさ
ラグドールの体格は、胴体が長くがっしりして筋肉質のロング&サブスタンシャルタイプ。
他のタイプの猫と比較すると大きめなのが特徴です。
同じ猫種には、メインクーンやノルウェージャンフォレストキャット、バーマン、オシキャットなどがいます。
体重が10kgを超えることもあり、寒い地方で生き抜いてきた猫種が多いと考えられています。
猫の中でも、体が完成するペースはゆっくり。通常3ヶ月から半年で大人になる猫種もいますが、ラグドールは成熟するまで2~3年ほどかかります。
ラグドールの性格
抱っこするとぬいぐるみのようだとご紹介しましたが、抱き上げると体の力を抜いてだら~んとしてしまう子が多く(猫は抱っこしたとき足が伸びたままの子はバカ?という昔からの説もありますね)猫にしては珍しいされるがままな特徴があります。
ラグドールの性格は基本的に温和。
のんびりやさんで優しく飼い主に大変従順です。猫に従順性?おやっと感じてしまいますが、遺伝的にみてもどうやら突然変異ではないかと言われるほど珍しいですね。
猫の本能ともいえる「狩り」に対する関心もあまりなく、縄張りの主張の一種でもある「引っ掻く」行動もあまりない傾向があります。
体が大きく動作は機敏ではありません。
鳴き声も大きくなく、物静かな性格で我慢強く情が深いと言われています。
小さな子供の無体な行動に対しても、鷹揚に構えていて気長に接し、よほどのことがない限り爪を立てることはあまり見られません。
小さな子供のいる家庭でも、一緒に育てやすい猫と言えますね。
ラグドールの寿命
おとなになるのがゆっくりなラグドールの平均寿命は、14~16歳といわれています。
猫全体の平均寿命が15歳前後といわれていますので、平均より少し長めといえるでしょう。
ただ、最近は食事がよかったり飼育環境が整っているため、猫全体の平均寿命も伸びている傾向があります。
猫もご長寿の時代が来ているのかもしれないですね。
ラグドールの毛色の種類
ラグドールは一生の間で、毛の色が変化する特徴があります。
生後間もなくは全身白。
離乳する頃には徐々に白から毛色の色が出てきます。
そして色が出始めると数週間から数ヶ月で徐々に毛色は濃くなっていくのです。
生後数ヶ月経つとその子の毛色が予測できるようになりますが、安定するのには数年かかります。
知識や経験が豊富にあるブリーダーでも、子猫の毛色を完全に判断することは難しく、血統証に記載する毛色は親や兄弟などから推測しているのが現状。
ですので成長したら色が違ったということはよくあります。毛色に関してはけして詐欺まがいだったり、偽称しているわけではありません。
ラグドールの毛色は実に豊富にあり、色によって次のような呼び方があります。
- 濃い茶色は「シール」
- 濃いめのグレーは「ブルー」
- 薄めの赤みがかった茶色は「レッド」
- 極薄い茶色は「クリーム」
- ピンクがかった薄いグレーは「ライラック」
- 焦げ茶は「チョコレート」
- 薄い茶色は「シナモン」
- 子鹿のような明るい茶色を「フォーン」
そしてこれらの毛色が、体のどの部分に配置しているのかで呼び方が違っています。
代表的な配置のパターンは3種類で、
- カラーポイント:顔や尻尾の部分が濃い色になっています。
- ミテッド:足に白いソックスを履いているような柄をしています。
- バイカラー:バットマンやハチワレに似た愛嬌のある顔をしています。
毛色と配置のパターンの組み合わせでバリエーションが豊富。
毛色によって性格判断ができるという説もありますが、この毛色だからこういう性格といい切れるものでもないようです。
ラグドールの毛色の中で、特にカラーポイントについては貴重な配置。
ヨーロッパでも人気があります。国内でもカラーポイントの出方と色が「ブルーポイント(濃いめのグレーが顔やしっぽに出る)」と「シールポイント(濃い茶色が顔やしっぽに出る)」の人気が高くなっています。
毛足の長さはペルシャから受け継ぎ、バーマンとバーミーズからは色や模様の出方を色濃く受け継いでいるのが特徴です。
ラグドールの販売値段
ラグドールの販売価格はだいたい18万円前後。
もちろん地域差や月齢、ペットショップなどによっても相場は多少変わってくると思います。
ペットとして飼うというより、品評会といったショーなどに出すために血統の良い子が欲しい場合がありますね。
そのような場合は、ブリーダーや専門業者から直接購入することになります。
ブリーダーから購入する場合、雄がおよそ25万円程度。
繁殖も考えて購入する雌はプラス3~5万円が相場と考えていいでしょう。
また、色と柄の出方によっても価格は違ってきます。
人気のカラーは価格が高く設定されています。
ラグドールの子猫はブリーダーとペットショップどっちで買う?
ペットショップ
ラグドールに限らず、猫を飼おうと思ったらペットショップに行く人がほとんどではないでしょうか。
様々な条件を一度で比べることができ、猫を選べるのがペットショップの良い点といえますね。
ペットショップの子の問題は、子猫のうちは人気がありますがどうしても育ってしまうと売れ残るリスクにあります。
良心的なペットショップであっても、餌の量を少なめにしていることが多いようです。
同じ月齢でブリーダーから来た子と、ペットショップで過ごした子では体格差がかなりあるように感じることがあります。(もちろん個体差もありますが)
また、ペットショップで販売されている猫は、早くに母猫や兄弟たちと離されて個室で育ちます。
そのため、精神的に不安定だったり、兄弟喧嘩の力加減などを学ぶ機会がありません。
じゃれていて爪を思いっきり立ててしまったり、歯型の傷ができるほど噛まれてしまう事があるため注意が必要です。
価格面でペットショップは、中間マージンや陳列している間の諸経費などが価格に上乗せされ高額になってしまうことが一般的によくあります。
ブリーダー
ラグドールは人気がある猫種ですので、ブリーダーの数も多いです。
そうは言っても、1人のブリーダーのところで生まれる子猫はそう多くはありません。
選択肢はそう多くはなく、生まれた子猫の中から選ぶことになります。
キャットショーなどの受賞歴にこだわらず、ペットとしてブリーダーから直接購入するケースでは、人件費などが含まれないので場合によってはペットショップよりも安く購入できることがあります。
ラグドールの購入のコツ
ブリーダーからの購入の場合でも、必ず現地へ行って見学させてもらいましょう。
子猫の育っている環境や、親猫の様子なども観察しておくのがおすすめです。
兄弟とのじゃれている様子などから身体的に問題がないか、活発な子かなど性格も観察できます。
血統証が付いている猫だからといって、必ずしも健康で先天性の異常がないとは限りません。
選ぶ時は、ラグドールの特徴がはっきり出ている子を見分けるというのも大事なポイント。
ラブドールの特徴は、平坦でなだらかな富士びたい。被毛は、シルキーでやわらかな被毛をしています。
また、白い模様(ミテッド)が鼻先や足先にはっきり出ているのが特徴です。
体型を確認する時は、体が大きく、骨格がしっかりしていて筋肉が付いている子は健康ですのでチェックしましょう。
目やにや耳垢がついていない子は、アレルギーやダニなどに感染していないサインになります。
また、お尻の穴がしまっている子は胃腸に問題がない証拠。
このようなポイントを確認して、抱っこした時ずっしりしている子ならトラブルが少ない子でしょう。
他のショップやブリーダーより安いからという理由で家に迎えてしまうと、育てているうちに医療費がかさんでしまうという可能性もあります。
ペットショップの場合は、ゲージの中が清潔か、トイレや餌が放置されていないかも見ておきましょう。
ペットショップ育ち(比較的長い間陳列されている子猫)には、耳ダニに感染している子も多い傾向があります。
抱っこさせてもらって子猫の体型チェックと同時に、環境もよく見ておき信頼できるショップかどうか見極めることが大切。
ペットショップによっては、それまでに摂取したワクチンやマイクロチップの手術などの代金を購入価格とは別に費用として請求するお店があります。
購入する前に、本体の価格以外に別途請求されるのかどうかもキチンと確認しておきましょう。
初めて子猫を迎える時は特に、ブリーダーやペットショップのサポートが心強いはず。
相談がしやすい雰囲気なのかどうかも大事なポイント。
子猫が慣れない環境でストレスから体調を崩してしまうのは避けたいですから、ちょっとしたことでも気になることを相談できる相手から購入したほうが賢いでしょう。
血統の良さや値段だけでは得られない、猫との生活を支える信頼できるサポーターが必要です。
子猫を家に連れて帰る時は、その子が使っていた寝具(クッションやタオルが一般的)、おもちゃ、猫砂も使っていたもの、餌は食べていたものを一緒に用意しましょう。
子猫は親猫や自分のニオイが付いたものがあると、精神的に安定して過ごしてくれます。
また、うっかり猫砂をいつもと違うもので準備してしまうと、ナーバスになっているところに知らない砂の感触を嫌がってトイレを我慢してしまったり、トイレ以外で粗相してしまうことがあります。
そうした端から見たらどうでもよさそうな、小さなアドバイスをもらえるのも判断の一つではないでしょうか。
ラグドールの飼い方
ラグドールを飼うためにかかる費用について見ていきましょう。
餌代
ラグドールは体が大きくなる猫です。小型の猫に比べ1日の食事量も多めになります。
1日あたりの餌の量はだいたい70g程度、月に約2kgくらいと考えて計算してみましょう。
ドライフードはだいたい350gで500円前後、1ヶ月5,000円程度は見積もったほうが良いでしょう。
年間にすると6万円ほど。
しつけのご褒美やおやつは別腹です。
おやつを与える場合は、年間で5,000円から10,000円ほど予算として考えておきましょう。
トイレの砂代
猫砂は消耗品。
1袋500円程度で1ヶ月2袋ほど使います。
年間で12,000円程度の出費になります。
ケア用品
毎月の費用ではありませんが、ケア用品としてブラッシング用のブラシとシャンプー、爪とぎや爪切りなども必要です。
ラグドールは他の長毛種に比べ毛玉ができにくい毛質ですが、それでも毎日のブラッシングは欠かせません。
高くても1,500円程度で揃います。
専用の爪切りは必要。
価格は1,000円から1,500円程度でしょう。
野生に近い環境で暮らす猫は、木登りなどで爪を研ぐため爪を切る必要がありません。
しかし室内飼いの場合、伸びた爪は切ってあげないといけません。フローリングで滑ったり、カーテンに引っかかったまま外せなくなって大乱闘になることもあります。
基本的にシャンプーは必要ありません。
猫は先祖が砂漠の動物ですので、体を濡らすことを嫌がります。
とはいうものの、毛の生え変わる季節の変わり目はシャンプーで抜け毛対策をすると人間側には便利。
ペット用のシャンプーは手頃なものから1,500円程度で販売されています。
爪とぎ
猫は縄張りを主張したり、気持ちを落ち着かせるために爪とぎをする習性があります。
柱や壁の腰板、ソファーなどに被害がでないうちに市販の爪とぎを使う習慣をしつける必要があります。
爪とぎもダンボール製の使い捨てなら、100円から500円ほどで購入できます。
ワクチンの費用
猫のワクチンは毎年かかります。
費用は混合ワクチンの種類によりますが、一回最低でも5,000程度。
また、獣医さんに診察料は別途支払うことになります。
診察料は獣医さんによって異なります。
子猫は初年度2回ワクチンは必要です。
去勢費用
繁殖を考えていないなら、避妊・去勢手術が必要になります。
入院の必要がある場合もありますが、手術だけで5万円程度(避妊手術は開腹手術なので更に高め)手術前に血液検査などで1万円、その他経費もかかります。
値段の比較はできますが、信頼できる獣医さんにお願いするのが一番です。
ペット保険への加入も検討しましょう。
平均寿命が15年前後なので、生涯費用として200万円くらい見ておく必要があります。
ケージやトイレ
ケージや食器類、トイレ砂のケースやケア用品などが必要です。
特に高級品をというのでなければ2万円ほどで用意できるでしょう。
必需品というほどではありませんが、揃えていたほうが良いものに獣医さんに行く時に使うキャリーバッグや、運動や憩いの場所になるキャットタワーがあります。
キャリーバッグは手頃なものでは3,000円から5,000円で購入できます。
ラグドールのおすすめの餌
ラグドールは、猫の中でも大きくなる中型種。
くにゃ~っと柔らかいというよりがっしりした筋肉質の体型をしています。
食事には、筋肉に必要な高たんぱくで栄養のあるキャットフードを選ばないといけませんね。
子猫が離乳してしばらくの間は、ドライフードをお湯などでふやかして食べさせましょう。
餌のタイプには大きく分けてドライフードとウエットフードがあり、ウエットフードの方が高価になっています。
高いからベストな餌ということではありません。むしろバランスよく栄養素が配合されているのは、ドライフードというのが一般的です。
猫を入手したペットショップやブリーダーなどから、どのような餌が良いかや与える量についても相談しておきましょう。
ラグドールの気をつけたい病気
ラグドールがかかりやすい病気は、一般的に次のようなものがあります。
コロナウイルス
かつて日本国内で10年間(2001年から2010年)17,392頭の猫を対象としたネココロナウイルス(FCoV)の抗体検査が実施されました。
雑種の陽性率が31.2%だったのに対し、純血種の陽性率は66.7%。純血腫では非常に高い値が出た結果があります。
純血腫の品種では、ラグドールは88.1%(59/67頭)ラグドールの固有の保菌率というより、繁殖の過程で感染したのではなかという推測もされています。
参考文献:過去10年間の日本のネコにおけるネココロナウイルス抗体の有病率。
ラグドールのかかりやすい病気には、その他にコロナウィルスに関連がある猫伝染性腹膜炎(FIP)。
また、純血腫のトラブルに挙げられる下部尿路症候群や避妊していない雌に多い子宮蓄膿症はラグドールにも気をつける病気に上げられます。
同様に子猫の頃から予兆が出る慢性腎不全、加齢とともに発症する心筋症もあります。
病気ではありませんが、難産傾向です。