ヤモリでペットにおすすめな種類
ヤモリといえば時々家の壁に張り付いているちょろちょろした生き物、そんなイメージですね。
イモリと混同されがちな為、両生類だと思われることもあるようですが爬虫類です。
日本でも野生のものを目にする機会がある比較的身近な動物ですが、実は今ペットとしても人気となっています。
そんなヤモリの中から飼育におすすめな種類をいくつか見ていきましょう。
ヒョウモントカゲモドキ
別名レオパードゲッコー、縮めて通称レオパと呼ばれることの多いヤモリです。
ヤモリの中に留まらず、日本で飼育されている爬虫類の中で今最も人気のある種類です。
人気の理由はその可愛らしい顔と飼育のしやすさにあります。
本種は夜行性なので他の爬虫類のように赤外線ライトなどの設備は必要なく、個体によっては専用フードを食べるので活き餌を必要としない場合もあり、爬虫類初心者にも飼いやすいです。
性格
性格も大人しい個体が多く、慣れてくると手に乗せたり、エサを欲しがってひょこっとシェルターから顔を覗かせるなどもしてくれます。
また他のヤモリと違いトカゲモドキの仲間には可動するまぶたがありますので、ウィンクをするなど表情が豊かに見えるのもポイントです。
大きさ
大きさは20〜25センチほどでぷりぷりとした尻尾が特徴となっています。
ヤモリですが地表性で手足は吸盤ではないので壁面に張り付くことなどは出来ず脱走もしにくいです。
色は黄色地に豹紋のベーシックなハイイエローの他、白色のブリザードやオレンジ色のタンジェリンなど世界中で常に新しい色や柄のものが生み出されています。
寿命
寿命は10年程度と長く一緒に暮らせるのも魅力です。
販売値段
値段は3000〜3万円ほどで、色や柄によって変わりますが専門店やイベントの方がペットショップよりも安く手に入るようです。
レアな色のものでは海外で1匹100万円ほどで取引されたという例もありますので、レオパの人気のほどが伺えます。
トッケイヤモリ
アジア圏に広く生息する比較的大型の種類です。
中国やインドなどでは日本のヤモリのように民家に張り付いていることもあるのだとか。
夜行性の種類で頭が体に対してやや大きく、また猫のような大きな目が特徴的です。
性格
性格は神経質で攻撃的なため単独での飼育が推奨されます。
一見扱いにくそうですが、その代わり弱ると大人しくなるので体調を崩した場合にわかりやすいです。
大きさ
大きさは25〜35センチ前後になり片手で持つには少し溢れるくらいです。
色は薄水色地に濃い橙色の斑点模様のものが一般的ですが、斑点模様のない水色一色のものなども品種改良で作られています。
トッケイは基本色の時点からかなり派手な印象を受ける種類です。
寿命
寿命は飼育下では5年程度と言われています。
販売値段
値段は3000〜2万円くらいで流通量は多い種類ですが、値段の安いものの殆どは野生のものを捕まえて来たワイルド個体です。
そのため日本に来るまでに弱ってしまっている個体もいますので、購入前によく状態を確認しましょう。
オウカンミカドヤモリ
別名クレステッドゲッコーで、ショップなどではこちらで呼ばれることの方が多いかもしれません。
いわゆる壁をチョロチョロするヤモリ『壁チョロ系』の人気種です。
ヤモリの中では上記のヒョウモントカゲモドキの次くらいに人気があると言われています。
性格
樹上性のヤモリの中では初心者にも飼育しやすく、性格も大人しくて慣れるとハンドリングもできます。
大きさ
体長は20センチ前後ですので女性の手でも扱うのは難しくありません。
基本色は黄土色っぽい感じの色合いですが、こちらもレオパと同じく品種改良が盛んに行われていますので赤色の個体や虎柄のタイガー、ドット柄のダルメシアンなども存在します。
寿命
寿命は7〜10年ほどで比較的長生きの種類です。
販売値段
価格は1〜2万円程度のものが多く、ワイルドのものは輸入規制がありますので殆どはブリードの個体であり安心して迎えられます。
レオパに比べると価格は少々高いですが、流通量自体は多いので専門店などではよく見かけることができます。
ニシアフリカトカゲモドキ
現状3匹のホワイトアウトオレオがハッチしてくれましたが、運良くパターンも3種揃う…幸運😂#ニシアフ#ニシアフリカトカゲモドキ pic.twitter.com/caXLhvJuWe
— YoZawa (@o_z_gecko) 2018年5月30日
詳しくない人なら間違えてしまうほど、外見だけならヒョウモントカゲモドキとそっくりなヤモリです。
一時期SNSでヒョウモントカゲモドキとして話題になった個体が実はニシアフリカトカゲモドキだったということがあったほど、両者の見分けは難しいです。
一般的にはこちらの方が黒目がちで手足が短く、身体や尻尾もムチムチして丸っこいので可愛らしい印象を受けます。
性格
一方で性格は慣れればおっとりですが、神経質ですので慣らすまでが難しくハンドリングできない個体もいます。
本種もトカゲモドキですので指は吸盤ではなく、また可動するまぶたがあります。
大きさ
大きさは20〜25センチで、ファットテールとも呼ばれるほど太い尻尾が特徴です。
基本色は茶色系の縞模様ですが、ニシアフリカトカゲモドキも品種改良が多く出ています。
オレンジ色っぽいアルビノや縞模様のないパターンレス、縦縞っぽく見えるストライプなど、他にも多くのパターンが存在します。
寿命
寿命は10年程と言われており長生きです。
販売値段
価格は5000〜2万円程ですが色や模様などによって変動します。
ヤモリを飼育するには何が必要?
いざヤモリを飼育しようとなった時に必要な物とはどんな物でしょうか?
一口にヤモリといえどその種類は様々で、元々いた地域に合わせて温度や湿度の管理をしたり、ケージ内のレイアウトをする必要があります。
ここからはペットして人気のある種類の中から、地表性ヤモリの代表であるヒョウモントカゲモドキと樹上性ヤモリの代表であるオウカンミカドヤモリを例に解説していきます。
まずはこの二種の特徴を少し挙げてみましょう。
ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)
・中央アジアの荒野や砂礫地帯に生息、その為高温や乾燥にも比較的強い
・全長20〜25センチ
・地表に住む夜行性の種類で、昼間は洞窟や岩場の陰などに隠れている
・指は吸盤(繊毛)ではないので張り付くことはできない
オウカンミカドヤモリ(クレステッドゲッコー)
・ニューカレドニアの固有種で森林に生息、高温には強いが乾燥に弱く湿度を好む
・全長20センチ前後
・木の上を住処としている夜行性の種類で、樹上性ヤモリの入門種とも言われる
・木や壁などに張り付きよじ登る性質がある
ということで同じような大きさの2種類でも既にこのような差があります。
それらを踏まえて飼育環境を作っていきましょう。
ケージ
地表に住むヒョウモントカゲモドキの場合、立体的な動きは必要ありませんのでそれほど高さを設ける必要はありません。
中に入れるレイアウトも木などを組んで高さを出す必要はなく、そうすることにより脱走も防げます。
つまり床面積が充分であればいいのですが、その目安として長辺が身体の2倍程度と言われています。
よって50センチくらいの水槽やアクリルケースなどで充分飼育が可能です。
樹上に住むオウカンミカドヤモリの場合、今度は高さが必要になりますので、上記の床面積に加えて木の枝などを入れることができる大きさのものが必要となります。
またこちらの場合は天井部分の蓋がしっかり閉まるケージでないと登って脱走しますので注意が必要です。
床材
どちらの場合もケージの下部には床材を敷く必要があります。
特にヒョウモントカゲモドキの場合はプラスチックの床では滑って歩けないので必須となります。
爬虫類専用の床材の他、コスト面や衛生面からキッチンペーパーを敷き詰める場合もあります。
砂などでも大丈夫ですがあまり細かいものですとエサと一緒に誤飲したり、トカゲモドキ以外では指の繊毛の間に粒子が入ってしまい壁などに張り付けなくなるようです。
シェルター
またケージ内にはシェルターを設置します。
これは爬虫類専用のものから植木鉢やレンガ、流木など、ようするに個体が隠れたり登ったりすることができれば何でも大丈夫です。
これらの物を設置することによりヤモリが脱皮の際に引っかかりとして利用することもできます。
そのため焼き物等であればつるつるした物よりは素焼きのざらざらした物の方が好まれます。
給水器
飲み水兼水浴び場として水入れを用意します。
あまり軽い物ですとひっくり返してしまう個体もいますし、脱皮前などは全身で浸かることもあるので安定感のあるものを用意します。
専用の物ですと上記のシェルターに水入れが付いてるタイプ(ウェットシェルター)がおすすめです。
それ以外ではタッパーなどを利用する場合もあります。
個体によっては溜まっている水を飲むことができないので、霧吹きをして水槽内に水滴を作ってやるとそれを舐めて水分補給をしてくれます。
温度管理
ヤモリは変温動物であり暖かいところを好みます。
自分では体温調整ができませんので冬場などはヒーターで温度管理をする必要があります。
お腹を温めてあげた方が消化がよいのでケージの床面に設置することができるパネルヒーターがよいでしょう。
その際床全面に敷くのではなく、暖かい部分とそうでない部分ができるように広くても半分程度に留めます。
上記に加えて設置する場合は天井部分に設置できる暖突などの器具がおすすめです。
ヤモリは一部の種類を除き夜行性で、強い光や紫外線を嫌いますので電球タイプはあまり使用されません。
暑さには比較的強い種類が多いですが、熱中症で死んでしまうこともありますので夏は冷風機などを使用します。
どの季節でも一番簡単なのは部屋ごとエアコンで温度を一定に保つ方法です。
湿度管理
爬虫類にとっては湿度もとても重要となります。
種類によって適度は違いますが、乾燥に強いと言われるヒョウモントカゲモドキでも湿度がなければ脱皮不全を起こすこともあります。
基本的には上記のウェットシェルターや水入れの水で充分保たれることが多いですが、それでも足りない場合や脱皮前などには霧吹きを行います。
ただし蒸れてしまうと生体の負担になりますのでやり過ぎには注意です。
冬場はヒーターなどの影響で特に乾燥しやすいのでよく観察してあげてください。
餌
ヤモリの主な食事は昆虫です。
基本的には活き餌を与えますが、個体によっては冷凍コオロギや、与えられる種類は限られますが専用フードを食べるものもいます。
何を食べるかは幼少期に与えられていたものなどの影響もありますので、個体の購入時にショップで確認するのが確実です。
勿論活き餌しか与えられていなかったがフードもあげてみたら食べたという個体もいますし、逆に今まで与えられていた物を突然食べなくなるという場合もあります。
活き餌や冷凍餌で一番メジャーなものはコオロギで、それらを与える場合はカルシウムパウダーをまぶすなどして栄養価を高めます。
ヤモリは夜行性で日光浴をしないので他の爬虫類よりもクル病にかかりやすいとも言われています。
そのためエサでしっかりとカルシウムを補給する必要があります。
人工フードを与える場合は栄養のバランスも考えられているので基本的にパウダーは不要です。
ただしフードはまだ取り扱いが少ない上に高価なので、虫が苦手などの理由がなければコオロギを使う方が簡単に済みます。