アベニーパファーと言えば、淡水の水槽で飼うことが出来る小型のフグです。
熱帯魚との混泳も可能であり、飼育も容易、愛嬌があり動きが可愛らしいことから人気の高まっている種です。
このアベニーパファーはインド南西部原産のフグであり、世界最小のフグと言われています。
普通、フグは海や川と海の狭間にある汽水域に生息していますが、このアベニーパファーは淡水の川や池に生息しています。
世界最小・淡水飼育可能・飼育が容易ということから日本のアクアリウムショップでも見かけることが出来ます。
今回はこのアベニーパファーの基本的な情報である、特徴や寿命、販売価格、飼育方法などについてお話しします。
目次
アベニーパファーの生態の特徴
アベニーパファー最大の特徴は、先ほども述べたように完全淡水飼育が可能と言う点。
他のフグとは違い、淡水だけで飼育することが出来ます。
また繁殖も淡水で行うことが出来るため、一般的な家庭用水槽でも飼育から繁殖まで楽しむことが出来ます。
大きさ
ほとんどのフグは成長すると20cm程度にはなるため、水槽で飼育すると言ってもかなり大きい設備を用意する必要がありますが、アベニーパファーは世界最小のフグといわれるほどであり、最大3cm前後にしか成長しません。
それゆえに45cm水槽や30cmキューブ水槽、60cm水槽といった一般的に利用される水槽でも十分飼育することが出来ます。
完全淡水飼育可能・世界最小というだけでも特徴的ではありますが、アベニーパファーの特徴は他にもあります。
高知能
まずアベニーパファーはフグなので知能がとても高いです。
餌を与えるときに合図を出して覚えさせれば、合図をするだけで寄ってくるようになります。
また人の顔を認識して、餌を貰いに来ることもあると言われています。
このように知能がとても高いというのは熱帯魚にはあまり見られない特徴です。
愛嬌の良さ
さらにアベニーパファーが人気になっている背景の一つに愛嬌の良さが挙げられます。
アベニーパファーは大変愛嬌があり、餌をもらうために水槽のガラス越しにアピールをしてきたり、飼い主の顔を見て近づいてきたりします。
このように熱帯魚とは違う魅力があるからこそ、アベニーパファーは人気が高いんです。
まとめるとアベニーパファーの特徴は「完全淡水飼育可能」「世界最小のフグ」「知能が高い」「愛嬌がある」という4つの点が挙げられます。
アベニーパファーの特徴は以上の4点であり、このような特徴が魅力的で飼育されることが多いのですが、アクアリストにアベニーパファーが好まれる理由は他にもあります。
アベニーパファーがアクアリストに好まれる理由はその食性と関係しています。
実はアベニーパファーはスネールなどの貝類を捕食することが出来ます。
スネールは水草飼育をするアクアリストにとっては天敵と言っても過言ではない存在です。
スネールが定期的に出現する…一体どこから
— 朱絽 (@syuro_) 2018年5月24日
アベニー「水草水槽に入って…とにかくスネールをぶっ殺したいです」 #Attack_on_Aqua
— 進撃のアクア (@Attack_on_Aqua) 2018年5月24日
スネールは一度水槽に現れるとかなりの速度で増えて行き、水槽をいったんリセットしなければ完全に除去することは出来ない場合が多いです。
当然リセットすれば水槽をはじめから構築しなければならず手間と時間がかかります。
そんな天敵であるスネールをアベニーパファーは捕食してくれるため、水草を育てているアクアリストにとってはかなり有益な存在なのです。
可愛く愛嬌があるからという理由だけで飼育されているだけではなく、水槽を維持する上で重要な役割を果たしてくれるというのも愛されている理由です。
アベニーパファーの寿命
次にアベニーパファーの寿命についてお話しします。
アベニーパファーを飼育したいと考えている人にとって、アベニーパファーの寿命と言うのは最も気になるポイントでしょう。
結論から言うとアベニーパファーの寿命は3年前後。
小型のフグということもあり、寿命はそれほど長くはないですが、飼育を楽しむのには十分だと思います。
熱帯魚の中には1年で死んでしまうようなものも多いため、そこと比較して考えるとまだ長い方です。
アベニーパファーは雌雄が揃っていれば比較的簡単に繁殖が行えるため、気が付いたら増えすぎていたとならないように注意しなければなりません。
グッピーのように繁殖は簡単に行えるけれど短命な種とは違い、3年も生きればかなりの数になってしまう場合があります。
3年と言う時間を長いと感じるか短いと感じるかは人によると思いますが、寿命を客観的に見て、飼い方や繁殖について考えてあげるようにしましょう。
アベニーパファーの販売値段
アベニーパファーの販売価格についてですが、販売店にもよると思いますが、アベニーパファー1匹当たりの販売価格は250円から500円程度が相場。
淡水飼育による繁殖が出来るため、安価で取引されています。
雌雄による価格差もなく、淡水熱帯魚を取り扱っているショップであれば大抵どこでも販売されています。
簡単かつ安価で入手できるからと言って軽く見てはいけませんが、比較的容易に飼育を始めることが出来ます。
以上がアベニーパファーの基本的な情報になります。アベニーパファ―を飼う時はしっかりと生態を理解したうえで飼うようにしましょう。特に混泳や食性についてはよく理解するようにしてください。
アベニーパファーの飼育方法
アベニーパファーを飼育するにはしっかりと環境を整えてあげる必要があります。
なぜならアベニーパファーは熱帯魚ではなくフグであるため、餌の種類などの基本的な飼育方法が通常の熱帯魚とは異なるからです。
また熱帯魚との混泳やアベニーパファー同士の混泳についても知っておかないと最適な環境を用意してあげることは出来ませんので、飼う前に知識を身につけておくと良いです。
水槽などの飼育環境
まず飼育にあたって必要な物についてですが、特に熱帯魚と異なる点はありません。
水槽、ヒーター、濾過機など基本的な熱帯魚用の設備を整えてあげれば十分。
注意する点があるとすれば、アベニーパファーの複数飼いや他の熱帯魚との混泳をする場合は水槽を出来るだけ大きくしてあげる必要があるということです。
単独飼いの場合は水槽が小さくても問題ありません。
また底に砂を敷くかどうかや水草を入れるかどうかも自由にして問題ありません。
隠れ家を用意してあげるとアベニーパファー自身も落ち着くため、水草で隠れ家を作るか、陶器で隠れ家を作ってあげるようにするとアベニーパファーの飼育環境的には良いです。
このように設備面では普通の熱帯魚とほとんど変わりはありません。
餌
しかし、最初に用意するであろう餌については注意が必要です。
というのもアベニーパファーは基本的に生餌しか食べません。
生餌はアカムシやブラインフィッシュなどが該当します。
これらの冷凍品も食いつかない場合が多いため必ず生きている物を用意する必要があります。
市販されているアベニーパファー用の餌にも食いつかないことが多いです。
生餌を用意し与えつつ、徐々に市販フードや冷凍品も食べるようにしていかなければなりません。
生餌や冷凍赤虫などを与える場合は鮮度に気を付けるようにしましょう。
これらの餌は腐りやすいため、出来る限り鮮度管理をする必要があります。
また、生餌も冷凍赤虫も水を汚しやすいという特徴があります。
水を汚してしまうとコケが大量に発生したり、病気になりやすくなったりとデメリットしかありませんので水は常に清潔に保つ必要があります。
そうするためには餌を水槽に残さないようにしなければなりません。
つまり、生餌や冷凍赤虫を与えた後、残した分はすぐに回収するようにしなければならないということです。
アベニーパファーは餌に関してはかなりの手間がかかりますので覚悟しておく必要があります。
時間をかけても人口餌に餌付かないこともありますが、餌付いてくれれば普通の熱帯魚と同様に飼うことが出来るようになるため楽になります。
アベニーパファーを飼う前に熱帯魚屋に相談し、餌付けの終わっている個体を譲ってもらうのも手の一つですが、なかなか難しいと思いますので、餌付けを自分でする覚悟は必要です。
アベニーパファーの混泳
アベニーパファーの混泳について。
アベニーパファー同士の混泳
アベニーパファー同士の混泳は可能。
ただし喧嘩やいじめが多発しますので注意が必要です。
水槽は出来るだけ大きいものにし、アベニーパファー同士が出会いにくくしたり、水草や陶器などの隠れ家を入れて喧嘩をしてしまっても逃げられる場所を作り出したりしてあげる必要があります。
そのような工夫をすれば混泳は十分可能。
ただし、下手をすれば殺し合いにまで発展してしまう場合もありますので混泳させる場合は注意深く観察するようにしてください。
アベニーパファーと他の熱帯魚の混泳
アベニーパファーと他の熱帯魚との混泳については熱帯魚の種類によっては可能です。
例えば、グッピーのような動きが遅く、ひらひらと尾びれを振りながら優雅に泳ぐ熱帯魚との混泳は基本的にできません。
グッピーの尾びれがボロボロにされてしまいますし、そこから病気になったりしてしまいます。
逆に混泳が比較的容易なのはネオンテトラやオトシンクルスのような素早い動きをする種類です。
アベニーパファーが噛みつきに来たとしても余裕で逃げられる速度を有する熱帯魚であれば混泳は可能です。
しかしそれでも寝込みを襲われることもありますので、100パーセント安全に混泳することは出来ません。
あくまでも比較的混泳の成功率が高いというだけです。
また、水槽の掃除屋として飼われることの多いエビ類との混泳も不可です。
エビはフグにとっては格好の餌であり、一瞬で襲われてしまいます。
特にミナミヌマエビやレッドビーシュリンプのような小型のエビは一晩で食べつくされてしまうでしょう。
大型のヤマトヌマエビであれば可能かもしれませんが、手足をかじられてしまうかもしれません。
どちらにせよエビとの混泳はエビに対するダメージが大きいので避ける方が良いです。
以上がアベニーパファーの基本的な飼育方法です。
アベニーパファーを飼育する上での注意点は、餌と混泳。
この2つの問題を超えられるのであればアベニーパファーは良い生き物です。
愛嬌もありますし、動きも面白いので飽きることなく楽しめるでしょう。
餌付けは基本出来ないと理解し、無理な混泳はさせないとあらかじめ決めておけば、飼育は難しくありませんので飼ってみても良いと思います。
アベニーパファーを飼育する水槽のレイアウト方法
アベニーパファ―を飼育する場合は他の熱帯魚を飼育する時とは少しレイアウトを変えてあげる必要があります。
また単独飼いなのか複数飼いなのかによっても少しレイアウトが異なります。
計画的に水槽を作り上げ、適切な環境でアベニーパファーを飼育してあげるようにしましょう。
まず水槽の立ち上げ方ですが、これは一般的な熱帯魚と変わりません。
水槽は洗剤を使わずに水で洗い、そこに底砂を敷きます。
底砂はソイルでも砂利でも構いません。
水草を植える場合はソイルが望ましいですが、水草を植えないのであれば好きなものを敷いてしまって構いません。
当然、何も敷かないというのも選択肢に入ります。
特にアベニーパファーを飼育する場合、生餌を与えることになる可能性もありますので、食べなかった生餌を速やかに回収できるよう底には何も敷かない、いわゆるベアタンクにするのも飼育方法の一つでしょう。
与える餌が生餌になることも想定する必要がありますので、レイアウトはしっかりと考えて作り上げる必要があります。
水槽の前面中央には空間を作り、餌を与えやすくするのがお勧めです。
単独飼いの場合はそれほどレイアウトに拘る必要はありません。
むしろ餌を見つけやすいよう隠れ家以外は出来るだけオープンにしてしまう方が良いです。
一方複数飼いの場合はたっぷり水草や隠れ家を用意する必要があります。
アベニーパファー同士でも激しく喧嘩をしてしまい、弱って死んでしまうことも多々あるため、喧嘩しても逃げられる場所をいくつも用意してあげましょう。
水を入れてからですと、水草やレイアウトを弄りにくいので、水槽立ち上げ段階から何匹飼うのか、どのようなレイアウトにするのかを考えなければなりません。
レイアウトが決まったら器具をセットし、水を入れカルキ抜きをします。
そうすれば準備完了。
一応すぐにはアベニーパファーを入れずにしばらく水槽をから回しして環境を整えてあげるとなお良いです。
先ほど喧嘩をしても逃げられるようにと言ったように、アベニーパファーを複数飼いするのであれば水草はたくさん入れてあげる方が良いです。
アベニーパファーはフグの一種ということもあり、ホバリングや細かい動きも出来るため、水草でなく陶器の隠れ家でも大丈夫。
景観に拘るのであれば水草の方が良いですがそこはどちらでも構いません。
水草の種類は特に決まっていませんが、グロッソスティグマのような前景草よりも中景草や後景草を中心にしてあげる方が隠れ家を確保しやすいため良いです。
バランスよく水草を入れてあげればそれほど何を植えるかを気にする必要はありません。水草は水槽の左右と背面に植えてあげると良いです。
喧嘩をした後、同じ場所に戻ると再度喧嘩になってしまうので、出来る限り分かれて隠れられるようにしてあげると喧嘩での死亡率が下がります。
最後に水槽を悩ますコケに対する対処法ですが、アベニーパファー飼育の場合、このコケ問題を重視する必要があります。
というのも、多くの場合コケ取り要員としてミナミヌマエビやヤマトヌマエビが水槽に導入されますが、アベニーパファーはエビとの混泳が出来ません。
もし混泳してしまうとエビを食べてしまったり、致命傷を負わせて殺してしまったりします。
そのためコケを抑制してくれるエビを導入できずコケまみれになってしまう場合があります。
アベニーパファーを複数飼いする場合は水草をたくさん植えるため、その分肥料を追加することも多いでしょう。
その結果コケの大量発生を招いてしまうこともあります。
また、アベニーパファーに与える生餌は普通のフードよりも水を汚します。
水が汚れるとコケが発生しやすくなってしまいます。
このようにアベニーパファーの飼育ではコケとの戦いが重要。
このコケへの対策はいくつか存在します。
1つ目は残った餌をしっかりと回収すること。
残った餌が水を汚すため、水を汚す前に回収してしまえば多少コケの繁殖を抑制できます。
2つ目は定期的な水の入れ替え。
全部の水を取り替えるのではなく、水槽の三分の一ほど水を取り替える換水を週に一度はするようにします。
アベニーパファーは弱い種ではないため、水換えをしても十分耐えてくれます。
これにより余分な栄養を外に出し、コケを抑制できます。
3つ目はこまめな掃除。
結局、コケと言うのは放置すればするほど増えていきます。
どのような水槽であってもコケは発生します。
そのため、コケを見つけたら片っ端から取り除いていくのが一番良い対策です。
増える前に取り除くことでコケを抑制します。
以上が水槽の立ち上げ方、水草のレイアウト方法、コケ対策の方法です。
いずれも基本的な知識ではありますが、アベニーパファーはフグということもあり、普通の熱帯魚のようには飼育できません。
どの生き物にも言えることですが、飼う生き物の特徴を調べ、最適な環境で飼育してあげるようにするのが飼い主の責務。
アベニーパファーの場合は、熱帯魚の飼育方法と少し変えてあげることで最適な環境を作ってあげることが出来ますので、手間を惜しまず良い環境を構築してあげましょう。